先日、Twitter……ではなくXでふとこんな投稿をした。
深夜に何となく投稿しただけなのでこれ以上掘り下げる必要もないかなと思っていたのだが、フォントクリエイターとしての好奇心に屈したので記事を書くことにする。これからやる事はいたって単純で、使われているであろう(と睨んだ)フォントを用いてロゴとの比較をしてみようというものだ。比較するだけである。ガルクラファンの皆様には、この記事を参考にしてパロディロゴの制作に励んでもらえたらと思う。
なお、この記事執筆時点で自分はガルクラ未視聴である。どうやら魔境の2024春アニメでそこそこ奮闘したらしいので、そのうち観ようかなぁと思っている。思っているだけなので観ないかもしれない。
自分が作るフォントは基本パロディという事もあり、ネタ探しにいろんな作品のロゴだけは必ずチェックしている。まずロゴを見て、オリジナルであるかどうか・再現できるかどうか・需要があるかどうか・自分が作りたいかどうか等を総合的に判断した上でパロディフォントを作り始める。なお完成するかどうかはまた別問題である。
当然ガルクラのロゴもチェックしているし、ぱっと見このくらいは全然フォント化できるよなと思った。回が進むにつれてネットで話題を目にする機会も増え、フォント化したら注目度もありそうだなと。しかし実際にはフォント化に至らなかった。先の投稿でも触れたように、フォントがベースになっている可能性が高いこと、先駆者が既にいることの2点が理由である。先駆者がいるという理由が一番大きい。
それはそれとして、このロゴがどうできているのかを研究したくなった。完全に趣味である。その結果がさっきの投稿なのだが、ちゃんと検証しないとダメだよね、と。いや、普段はここまでやらないけど。こういう記事を書いておけば助かる人もいるかもしれない、くらいの気持ち。アウトプットしたかっただけかも。
そんなワケでガルクラのロゴをフォントと比較してみようのコーナー、はじまりはじまり。
フォントの特定は基本中の基本
まずはロゴに使われているフォントの特定から。昔の作品であれば手書きなのは確定的に明らかなのだが、近年の作品のロゴは何かしらのフォントをベースにしていることも多い。大抵の場合物好きなフォント厨が勝手にやって成果を報告しているので、ベースがあるロゴについては軽く調べれば何かしらの情報が出てくるはずだ。出てこない場合、その作品の知名度が低いかオリジナルである可能性が高い。
情報が無ければ自分で探すしかないのだが、今は便利なサイトが色々とある。それらをフル活用したり自分のフォント知識を総動員すれば案外何とかなるはずだ。一応、まずはフォントワークスのフォントを疑っていこう。無ければモリサワ、モトヤ、イワタあたりを探ってみよう。それでも見つからない場合は地獄だね。
なんやかんやあって今回は元となった(であろう)フォントを特定することに成功した。そのうちの1つがこちら、『カナ44キューブ』というフォントだ。
「ル」や「バ」あたりを見比べてみれば一目瞭然だろう。かなり手が加えられているためピッタリ重なるとまでは行かないが、90%くらいは一致しているように思う。一方で「ン」や「イ」のようにまったく一致していない文字もあるため、別のフォントからも引っ張ってきていると予想した。まあこれを見てまず疑うべきフォントはアレしかないし、パッと見この形状は間違いなくアレだろうと思ったのだが。
みんな大好き、『ラグランパンチ』。このフォントの元となった『ラグラン』の可能性もあるが、今回はラグランパンチという事にしておく。この2つのフォントがどう違うのかはフォントワークス公式が出したこちらの記事を読めば分かるゾ。
こうして並べてみると、頂点の位置がある程度重なりそうな文字があることがお分かりいただけるだろう。「ズ」「ン」「ド」「ク」「イ」のベースはラグランパンチである可能性が高い。なんならほとんどの文字がラグパンベースまである。
ちなみに、カクカクしたロゴにしたかった理由は分からないのだが、アクの強いキャラクター達やユニット名の「トゲナシトゲアリ」がヒントだと思う。この記事ではあまり関係ないのでスルーするが、そのイメージに合致したのがカナ44キューブだったのだろう。でもそれだけじゃ微妙だったからラグランパンチも使っていると。逆の可能性もあるし、最初から2つが候補にあった可能性もあるが。
うーん、個人的にはカナ44キューブとラグランパンチの間を狙ったらこうなっただけな気がするなぁ。
ベタ打ちからロゴへ
ここからがデザイナーの腕の見せ所。フォントベタ打ちでもそれなりのものはできるが、商業作品である以上オリジナル感は強めにした方が良い。というかベタ打ちだと商標的な問題があったりなかったりするので、ある程度手を加えて独自性を出す必要がある。
自分がロゴを作った訳ではないのでどういう思考プロセスを経てこのデザインに落ち着いたかは分からないが、少なくとも「カナ44キューブとラグランパンチの中間を狙ったデザイン」を目指してはいるはずだ。カナ44キューブも良いフォントなのだが、全体のバランスで言えばラグランパンチの方が良い。しかし形として欲しかったのはカナ44キューブなので、ラグパンをベースにしてカナ44キューブのニュアンスを加えているのだ(多分)。
こうして比べてみると全体的にラグパン寄りの形をしているように見えるが、「ズ」のフの部分や濁点などに注目するとカナ44キューブの要素が組み込まれているのが良く分かる事だろう。一方、カナ44キューブをベースにしているであろう「ル」は最後の跳ね上がりの角度がラグパンっぽく見える。完全にラグパンに寄せている「ン」は曲線をなくすことで周りの文字と馴染むようにしているみたいだ。いい仕事をしている。
結局何がしたかったの
ほんとはこの部分がピッタリ重なるなぁ~とかそういうことをやりたかったのだが、疲れたし並べるだけで十分伝わりそうだったのでこれで終わりにしようと思う。決して飽きたわけではないぞ。
ただガルクラのロゴはフォントを用いたデザインの教科書として優秀な気はするので、ロゴデザイン的なことをする人は色々参考にしたらいいと思う。字形を弄る楽しさを覚えていこう。
なんでMorisawa FontsもLETSも契約してないんですか?
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